
> 福島原発2号機 燃料が完全露出
さてマスコミの公開リンチのような東電(しかも哀れな中間管理職たち)の会見、この原発危機への取り組みや輪番停電のホウレンソウの無さ加減が叩かれまくってるんだが、
阪神淡路大震災のときと異なるのが、「原発」というこれまたデリケートなものが加わったことで理系的な要素が入ってしまい、
「なんだかよくわからないけど危ない」
という天動説有利みたいな状況に置かれてしまっているところ。
まあこのMITのエンジニアも緊急レポートで書いてるんだが(やたら長いが福島原発で起きている事態について、報道よりもそれなりに分かる)、
東電や東電から情報を得て官僚の書いた原稿を読む枝野官房長官の説明が、
やはり記者にも視聴者にもよく伝わってない。
なぜなら相手には文系が多いからで、それゆえにチェルノブイリやたぶんほとんどの人が知らなかったであろうスリーマイル島臨界事故がこびりついて、だから公開リンチになるし、世間の少なからぬ人たちというか多数派が「原発こわい」「放射能いや」のまま自動フリーズしてしまっている。
そして、わりと普及してると思ってた、
原子炉の中の核燃料は「決して」核爆弾のタイプの核爆発を起こすことは無い
というのも意外と知られてなくて、炉心が原爆となって核爆発するような書き方してる人もいたり、放射能をゾンビウィルスのように人から人へ感染していくもののようにとらえてる人もいたり、今後100年は人が住めなくなると書いてしまったり。
で、対する専門家方面はというと、
やっぱり説明力に欠ける。そもそも初心者に物事を伝える訓練なんて受けてないからまあ当然だが。
これじゃたぶん曲解されるだろうなである。
という理系と文系の決して越えられない溝を感じるひととき。
ちなみにワシは筋金入りの文系であるけども、算数は2ケタの足し算もおぼつかないくせに、こういう理系的な概念を分かったフリするのはわりと得意だ。分かったフリだから分かってないんだが。
で、今、ヒステリックともいえる原発恐怖、反原発がにじみつつある中で、
もう少し一般に近いところにいる理系な人々、もう少しくだけた表現で事態をきちんと伝えられそうな半理系知識人や理系ブロガーたちが、
逆に今の原発バッシング、東電バッシングの状況を憤って批判する図も起きてきてるんだが。
これがなんつーか、
「こいつら分かってない」
「なんでこんなことも分からないの」
「曲解しやがってバカめ愚かめ」
「反原発なんて宗教め」
「無知で腹立たしい」
そんな敵対しかも上から目線で始まってるから、
影響力が広げられないでいる。
比較的マシなこのMIT技術者でさえ、
ジャーナリストは大間違い、という否定からレポートを始めてる。
で、どれだけいいこと言っても、見下されて全否定されたうえで耳を傾けようという人間なんていない。
どうしてもそれで聞いてもらうには洗脳みたいに極限状態に置いて否定しないと。
そんなわけで専門家およびそのフォロワーと一般の、
というか理系と文系の溝は縮まらないし、同じ不毛が繰り返される。
そこがじつにもどかしい。
こういう平行線になってる原因の一端は、原子力側にもある。
ワシは原子力推進派でも反対派でもないんだけども、原子力方面の仕事をやったことが何度かある。
で、たしかに危険な物質を扱ってるけども、その対応も頑張ってしてるっていうし、そもそも原爆じゃないですから、というのを正面から堂々と言えばいいじゃないか、
と持ちかけてみたんだが、まあ当然ながら禁忌ゆえにダメ出しなわけだ。
たとえ答えがプラスでもその前提にちょっとでもマイナスがあると、攻撃材料にされてしまう、ということである。長い反原発との消耗戦のなかでそういうあいまい路線で済ませるのがお得、になってしまってるのだ。
なので、けっきょくは「草原の真ん中で家族がきらきらっ」的な抽象的でまったく伝える価値もない表現になってしまう。
という腰の引けたスタンスじゃ、ただでさえインパクトの強すぎるチェルノブイリ系アンチにはとうてい勝てない。というか戦わない道を選んでるわけで。
という原発側のなあなあで済ませとこうな空気が、
決定的な今回のようなときに裏目に出てみんなさんにフリーズされてしまうんである。で、そういうときに流れを決めてしまうのは残念ながらその思考停止な文系の方なんである。
だからちょうど口べたな専門家と怒りっぽいフォロワーたち、そしてそれ以外つまり思考停止中の文系との中間くらいに位置する人が出てきて、ちゃんと取り結ばれるといいと思うんだが・・・いないようである。
ワシはもちろん分かったフリしかできないし。
そして少し引っかかるのが、アンチ“東電バッシング”の発言者たちが、なぜかそろえるかのように、技術部門の頑張りと文官部門を一緒くたにしてしまってるのが多いところ。
たしかに原発の危機回避に取り組み続けてるエンジニア部門は非常に優秀に頑張ってて、そもそもM9.0の激震と史上最大津波を食らったにもかかわらずまだ大事故になってないってことで海外ではその優秀さが賞賛されてるくらい凄いってのはまあ分かるんだが、
文官部門が彼らのミッションに失敗して役目をはたせてないのはたしかなのだ。ホウレンソウすらできず、恣意的に停電をやったりやめたりして他のインフラや産業の混乱を起こし、一般人も振り回してしまったり、
そしてなによりまさにこの原発での隠蔽りの前科があったり(これは一般人のほとんどが今回まで忘れてたと思うが)。
文官にも少なくともプロとして求められる役割がある。そして彼らはその肝心の機能をはたせてない。
技術部門の頑張りは素晴らしい、だが文官部門は決して素晴らしくはない、いやむしろ後方支援しなきゃいけないのに逆に足を引っ張っている。
そこは分けて考えるべきだろう。
それをなぜか「東電は頑張ってるのに叩きすぎだ」と一緒にしてしまうのはなぜか。
感情的なだけのバッシングはさすがにアレだが、そこはバランスとりつつきちんと問題としておかないといけないんじゃなかろうか。
なぜなら東電のようなインフラ産業はきわめて公務員的であり、平時に有事のことを持ち込んでも華麗にスルーしてしまう役人スペックがあるからで、危機の時に骨身に染みないと忘れてしまうんである。
じっさい阪神大震災のときにあれほど危機管理能力がなくて機能不全に陥ってボロクソに叩かれた政府や行政や警察や自衛隊が、
今回見違えるほどにてきぱきと動いている。ある意味叩かれたおかげだ。あのとき叩かれてなければきっと今も変わってない。
その意味で正しいバッシングというか、こう是正したらどうだ的な圧力はきちんとかけられないと、と思う。今回のは妙なヒステリック攻撃になってしまってて残念だが、たぶんこの結果、次に備えた体制がつくられるだろう。
ところで、枝野長官は意外と事態を落ち着かせるのに貢献してる。
本人の功績というより、あの淡々とショートカットなしゃべりでそつなく見えるキャラ、そして防災服というより工場の管理職みたいに見える妙な違和感のなさ、
そのへんがほぼ何も語ってないんだけど、無意識の安定剤になってて、前任の戦国時代長官から代わっといてよかったんでは、若いしな、と思わせる。
by noriaky231
なんだかんだいってフル出場の…